ミッションを体現するシグネチャープロダクトのデザイン
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ミッションを体現するプロダクトデザイン
平安伸銅工業とTakramのコラボレーションブランド「AIR SHELF(エアシェルフ)」は、平安伸銅工業が培ってきた「つっぱり」技術を最大限活用し、壁を傷つけずに美しい空中棚が設置できるシェルフシステムです。
今回、平安伸銅工業が掲げる、「『暮らすがえ』の文化を創る」というコーポレートミッションをどのように具体的な事業・プロダクトとして形にするかを考えるところから商品企画をスタートしました。
これまでは空間に付け足すつっぱり棒などの”家具未満”のプロダクトを提供してきた平安伸銅工業において、「『暮らすがえ』の文化を創る」とはどういうことか ──。
Takramは、「暮らすがえ」というコーポレートミッションとユーザーにとってのプロダクトの価値をダイレクトに接続することを目指しました。そこで辿り着いたのが、「家具領域」への挑戦です。暮らしを変えるブランドが家具未満の製品ラインナップだけでそれを体現できるだろうか。つっぱり棒の進化ではなく、平安伸銅工業の新たなプロダクトブランドによって、既存の家具では見落とされている暮らしの理想や家具のあり方をつくり出すことはできないだろうか。その実現に向けてAIR SHELFの構想がスタートしました。
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シェルフのトレードオフを乗り越える
引越しやライフステージの変化によって買い替える必要がなく、住居に合わせて組み替えられ、暮らしの変化(暮らすがえ)に寄り添える家具とは。導き出した答えは、平安伸銅工業のアイデンティティであるつっぱり式を用いたシェルフシステムでした。
これまでのシェルフ(棚)は、「収納力はあるが圧迫感を生みやすい床置きのもの」と「スッキリとした見た目だが壁に固定が必要なもの」が多く、収納力とスッキリさを“気軽に”両立する選択肢がありませんでした。
AIR SHELFは、独自の柱構造で棚が空中に浮いているような浮遊感がありつつも、収納力のある壁面収納を実現します。つっぱり式の家具は壁を傷つける心配がないので、賃貸物件でも安心して使用することができます。
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心地よさのためのノイズレス
AIR SHELFは、現代の暮らしで生まれやすい“ノイズ”を徹底的に排除するために、あらゆる面からアプローチしました。外観としてビスを可能な限り目立たなくすることやコード配線を綺麗に隠す構造を盛り込むなどの視覚的なノイズレスはもちろん、周りのインテリアや置きたいものに合わせて自由な高さに棚板を固定、つけ外しでき、シェルフそのものの位置もすぐに変更が可能です。専用にデザインされたオプションパーツも組み合わせながら、棚の個性や棚の耐荷重を気にすることなく、自分の理想的な棚を気軽に、きちんと、つくれることを目指しました。
家具は大きくなればなるほど設置や移動、組み替えや廃棄などへの心理的負荷が増していきます。AIR SHELFでは、プロダクトが関わるすべての体験を洗い出し、「いつでも変更できる、いつまでも使える、いつでも心地よい状態をキープできる」どの段階においても心理的負荷を減らすデザインを施しています。AIR SHELFがあることで棚が綺麗に整い、暮らしが心地よくなる。そんな存在を目指しました。
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Project Information
Project Team
- Project Direction: Naoaki Iwamatsu
- Creative Direction: Naoaki Iwamatsu
- Strategy & Product Planning: Naoaki Iwamatsu
- Product Design: Naoaki Iwamatsu
- Graphic Design: Tomohito Saito (summit)
- Photography: Ryoukan Abe
- Interior Styling: Yusuke Takeuchi
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