新しいライフスタイルを提案するテーブルウエアのデザイン
Takramはニッコー株式会社(以下NIKKO)と共同開発し、新しいライフスタイルを提案する「Table Planter™(テーブルプランター)」のコンセプト及びプロダクトの開発、展示会、WEB・SNSでの発信などをデザインでサポートしました。
「Table Planter™」は、1908年から石川県の自社工場にて、純白で美しく、丈夫なテーブルウェアを造り続けてきたNIKKOが、あらためて現代における暮らしの豊かさを見つめ直し、サステナビリティと向き合いながら「人も植物も同じ素材からできた道具で生活する」という新しいライフスタイルを提案するプロダクトです。
新たなライフスタイルの提案
Takramは、NIKKO及びプロダクトデザイナーの鈴木元氏と共に、NIKKOの持つ技術や文化を活かしながら、これからの陶磁器を通じた新たなプロダクトやビジネスの可能性を探りました。
またNIKKOでは、廃棄されるファインボーンチャイナの食器を粉砕することで肥料として再利用する技術の研究開発、及び製品化に向けた検討が進められていました。
この肥料を、テーブルで植物を育てるための肥料兼化粧砂として活用し、新たに食卓での利用を想定してデザインされたファインボーンチャイナ製のプランターへ植物を生けることにより、テーブルの上の小さなエネルギーの循環と、NIKKOのテーブルウエアで植物とも共に暮らすライフスタイルを提案する「Table Planter™」のコンセプトを生み出しました。
ファインボーンチャイナ製のプランターと化粧砂としても使用できる肥料(「BONEARTH®(ボナース)」)は、いずれも食器として使用されている材料であり、その際立った白さと清潔感からテーブルで植物と共に暮らすライフスタイルを容易なものにします。
Table Planterのプロダクト
Table Bonsai
designed by Sho Tanaka
テーブルで手の届く小さな範囲で盆栽を愉しむための一連の要素を具体化しました。食事やコーヒーを淹れる行為、あるいは茶道や茶芸のひとつひとつの所作を愉しむように、植物の鑑賞や手入れに関わる時間と手間を卓上で愉しむことができるプロダクトです。植物を生ける小鉢を中心に、水やりや肥料となる化粧砂を扱う器などがあります。一連の製品は共通したジオメトリで設計されており、それらを扱うときに型として一貫した身体の動きとなるよう、人の所作のミニマルさを追求したデザインとなっています。
Reborn
designed by Naoaki Iwamatsu
化粧砂として再⽣されたボーンチャイナを破⽚のまま再焼結させ、鉢の⼀部として再⽣させた鉢です。破片を再焼結させることにより生まれる隙間から空気と水が抜ける構造体としての機能を果たしつつも、土台と化粧砂が同じ素材とテクスチャーであることが、循環する素材のコンセプトを表現しています。Rebornは、「循環する素材とそれと共にある暮らし」というブランド哲学を製品そのもののデザインで体現することに挑戦したプロダクトです。⼀度役⽬を終えた⾷器が、植物を⽀える台座となり、植物を育てる肥料となる。新品と再⽣品が同居する器の中で育つ植物から、NIKKOの描く循環する⾷器の物語を感じさせます。
Symbiosis
designed by Naoaki Iwamatsu
キッチンや⾷卓に置かれた植物とそこで暮らす⼈々が、「同じ⽔」を共有するための水差しです。水を摂取して生きる人と植物。両者が別々の道具を使うのではなく、同じものを使うことで「植物と人が共生する」という世界観を、プロダクトデザインに込めています。コップ1,2杯分の水を注いでも、植物に注ぐ分の水が残るサイズ感、注ぎ口が鉢から離れていても水を注げるようにコントロールしやすい注ぎ口、キッチンや食卓にあっても違和感のない存在感など、新たなコンセプトと使用シーンにフィットするデザインを目指しました。
Dune
designed by Daiki Nakamori
廃棄されるファインボーンチャイナの食器を粉砕することで肥料および化粧砂として再利用したBONEARTH®を⼿にしてみて素材の循環の先に⾒える⾵景について考えました。この鉢の起伏ある形状によって、再利⽤されたボーンチャイナから⽣まれた化粧砂と、同じくボーンチャイナの鉢が緩やかな境界線で溶け合い砂丘のような景観をつくり出します。そこに⼩さな植物を植えて⾒えてくる世界を楽しんでもらえたら嬉しいです。
Little by Little
designed by Jun Murakoshi
おうち時間が増え、室内に射し込む陽の光や⽇々成⻑する植物の姿に⽬を留めることが多くなりました。BONEARTH®の取り組みは、⾷事の瞬間を彩ってきたNIKKOが、改めて循環やつらなりに⽬を向けているのだと捉え、プランターの表面に時間をまとわせました。24枚で構成された純白の面ではグラデーションが刻々とうつろい、プランターが楕円形状であることでテーブルに落ちる影はよりわかりやすく変化します。一体的に見える受け皿とプランターの間には隙間ができるようになっており、植物の根が呼吸しやすく設計されています。
展示会及びWEB・SNSのコミュニケーション
「Table Planter™」の提案を伝えるためのサポートとして展示会のアドバイザリを行いました。富ケ谷のLOST AND FOUND TOKYO STOREにて、6つのプロダクトシリーズを手にとって見ることができる展示会「Table Planter™」展示会が開催されました。
また、同様に提案を伝えるためのランディングページの提案とデザイン、SNS等によるコミュニケーションをサポートしました。
Project Information
Project Team
- Project Direction: Sho Tanaka
- Concept Design: TakramGen Suzuki (GEN SUZUKI STUDIO)
- Product Design: Sho TanakaNaoaki IwamatsuDaiki NakamoriJun MurakoshiGen Suzuki (GEN SUZUKI STUDIO)
- Project Supervision: Kinya Tagawa
- Web Design: Jun MurakoshiJonathan Nesci (ex-Takram)
- Product Photography: Shinya Sato (Shinya Sato Photography Office)
- Post Production: The Elves and the Shoemaker.Co.,Ltd
- Plant Styling: 草花屋 苔丸