デジタル社会の実現に向けた国の重点計画を紹介するプレゼンテーション
Takramは、2021年12月24日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の内容をわかりやすく紹介するプレゼンテーション資料を制作しました。デジタル庁のデザインチームと連携し、これからの日本が目指すべき社会の姿と、それを実現するためのビジョンや具体的な施策を紹介することで、一般の方々に重点計画に興味を持ってもらうことを目的としています。
資料の狙い
重点計画は、日本が目指すべきデジタル社会の姿と、その実現に向けて政府が実施すべき施策が明記されており、デジタル社会の形成に向けたあらゆる取り組みの拠りどころとなる重要なものです。そして、計画の実行には国や地方自治体、民間が連携をとり、多くの人々の協力が欠かせません。
一方で、重点計画の閣議決定文書や概要資料には専門的な表現が使われ、数百ページに及ぶ量になっているため、必ずしも誰もが理解しやすい状態ではありませんでした。そこで、重点計画に興味のある人が気軽に読むことができ、他の人にも紹介したくなる資料を新たに作ることにしました。
構成の工夫
重点計画に興味を持ってもらうためには、短時間で要点を掴める構成であることが求められます。そのため、全ての内容が網羅されているかを判断基準とせず、読んだ後に概要を理解できた、という読後感を目指して構成しました。
プレゼンテーション資料のメインコンテンツは、重点計画に記載されている施策を6つの分野ごとにまとめたページ群です。この6分野は、重点計画の本文で「デジタルにより目指す社会の姿」を説明する際に使われている分類を土台としています。目指す姿と具体的な施策をまとめることで、1ページだけ取り出しても成立し、活用しやすい形になっています。
重点計画には専門的な表現や固有名詞が多数使われています。短時間での理解を促すために、それらをできるだけ一般的な表現に変換しています。また、「誰一人取り残されないデジタル社会」という分類に「UX・アクセシビリティ」という見出しをつける事で、具体的なアクションへの接続性や関係者に共感を呼ぶ言葉遣いにも配慮しました。
ビジュアルの工夫
重点計画の要点を掴み、好感が持てるように清潔感のあるレイアウトやメリハリの効いた文字組みにしています。資料の前半は前後の流れをわかりやすくするために左右2分割のレイアウトで統一し、分野ごとの施策ページでは1ページのまとまりを重視した横レイアウトになっています。
デジタル庁はブランドガイドラインを公開しているため、フォントやカラーはガイドラインを基準に決められています。デジタル庁や政府の資料として今後の良い参考となれるよう、何段階もの試行錯誤を経て最終的なデザインを決定しました。
目指すデジタル社会の実現に向けた施策の紹介では、まとまりごとにビジュアル表現を用いることで理解を促しています。分野ごとに使用するカラーを分ける事で、資料のリズム感や全体の印象を向上させています。なお、このビジュアルはWebサイトなど他の場面でも使われることを想定して汎用的な表現を心がけています。
プロセス
資料の構成検討から公開に至るまで、デジタル庁のデザインチームと連携をとりながら進行しました。デジタル庁の内部にデザイナーが在籍していることで、庁内での各種調整や制作途中のフィードバックがスムーズに進行でき、短期間での資料作成を実現しています。
コミュニケーションは全てオンラインで行われました。オンラインで常に最新版の資料を参照できる環境を用意することで、ダイレクトなコミュニケーションが取れるようになっています。
Project Information
- Client: デジタル庁
- Expertise: Digital
- Year: 2021
Project Team
- Project Direction: Minoru Ito
- Creative Direction: Minoru Ito
- Text Writing: Minoru ItoShota Matsuda
- Visual Design: Sho Tanaka