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News from Nowhere: Chicago Laboratory

Louis Sullivanギャラリーでの未来を考える展覧会
2012年にドイツのカッセルで開催されたdOCUMENTA(13)で展示されたNews from Nowhere次の開催拠点であるChicago Laboratoryと共に進化しましたシカゴはこの相互創発的なプロジェクトのアメリカ初の開催地です本展は展覧会であると同時にこんにちの世界と想像しうる未来の世界を研究するためのオープンなプラットフォームでもありますNews from Nowhereムン・キョンウォンとチョン・ジュノが現代におけるアートの役割社会的機能意味を探求するために多才な思想家と作家を結集させました
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背景

News from Nowhereアメリカ建築史の巨匠ルイス・サリヴァン氏によって設計されたシカゴグリッドの列柱が並ぶ1000平米の空間です本展はムン・キョンウォンとチョン・ジュノによる二本の映像作品El Fin del MundoAvyaktaと共に六人による作品を展示しました建築家の伊東豊雄氏ファッションデザイナーのチョン・クホ氏津村耕佑氏ギュ・ユジン氏デザインファームのMVRDVTakramが出展しました本展は名実ともにラボラトリーとして研究やクリエイティブプロセスの場レクチャーやワークショップのためのプラットフォームまたその他の公的なプログラムの拠点となりました
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Shenu の世界巡回展示

Takramにより考案されたShenu: Hydrolemic System人体が必要とする水分を極限まで抑えるために創られた人工臓器を含む一連のプロダクト群です2012に開催されたdOCUMENTA(13)にて発表された本作品は荒廃した未来の地球における水筒がテーマとなっていますShenu: Hydrolemic Systemが展示されている本展は2013921日から1221日まで展示が行われました
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プラットフォーム

ムン・ギョンウォンとチョン・ジュンホによる映像作品El Fin del Mundo絶滅の危機に瀕した激動の世界を描いたものです人類繁栄の影で起きた自然の反動は海水面の上昇有害物質の流出などの結果をもたらし地球は荒廃しました海水面は世界で最も高い山々や高層ビルが島々と化すほどまで上昇しますこれが新たなプラットフォーム構築の出発点となりました

文明が滅んだ世界では従来の勢力図社会経済機構芸術や文化はもはや存在しません美術館やギャラリーは水没し見えなくなりますこの新しい世界では生存することのみが他の何物にも勝るプライオリティになりますそのような状況下残された人々が集い再構築するために文明が再構成されなければなりませんこの悲惨でおよそ望みのない空想条件はつまり先入観や偏見が消えたときアートデザイン文化そして人生観を構成するものは何なのかを再評価する機会になりました

新たな世界秩序の構築においては座標を構成することが最も重要なタスクとなります座標は個々の有形物を繋げるものとしてそして世界を理解するにあたって非常に影響と変化を及ぼすことから文明の構成において基礎的な概念ですそれは自然界で人類がどこに位置するかの枠組みをも与えるものです

何世紀にもわたって特に西洋はデカルト的なシステムの上に構成されてきましたルネ・デカルトの座標概念はあらゆるものをグリッド上に置くことができるものですしかしデカルトの直交格子が地球に投影されたとき不均衡な幾何学的表面分布が現れるのですこのような不均等性がバックミンスター・フラーによって幾何学的分布を均等に投影して歪みを最小化する20面体型が展開されるダイマクション地図と測地線型へのきっかけとなりましたこの延長線上で考えてみるとこのユートピア的メカニズムは上--南という二分法の中に埋め込まれた層的勢力図を不安定化することを示唆していますしかしデカルトにとってそうであったようにフラーの幾何学的座標システムによる世界のとらえ方は様々な政治的モチベーションを前提としユニバーサルな秩序を押し付けているともいえるでしょう

ムンとチョンによる仮想未来では画一的でユニバーサルな秩序は不可能なだけではなく不必要なのです脆弱な人類が住まう島々という断片的なプラットフォームではデカルト的絶対主義的な座標に取って代わってアインシュタインの相対性理論的なフィールドの座標が必要ではないかという問いから始まりました

建築家ルイス・サリヴァンによるモダニスト・グリッドの代表的 シカゴ・フレーム で構成されている本展の空間にフラーのパターンを重ね合わせると 相関的な変質が起こることが想像できます六角形グリッドは来場者の動線情報の方向性密度循環そして作品やプログラムのレイアウトなどの複数の関係性によって変形され異なる座標へと変容します展示空間はデカルトとフラーによる構想では欠けていた別質のコーディネーションを試みておりムンとチョンのNews from Nowhereによって創発された巨大な 科学的好奇心のキャビネットの世界なのです

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Project Information

Project Team

  • Project Direction: Kaz Yoneda (ex-Takram)
  • Architectural Design: Kaz Yoneda (ex-Takram)
  • Art Direction: Moon KyungwonJeon Joonho
  • Special Thanks: Generous support for the artists has been provided by Hyundai Motor Company, LB Investment, and Nefs Co. Ltd., along with Asiana Airlines in cooperation with GALLERY HYUNDAI, Seoul. Special thanks is also extended to the Illinois Arts Council, a state agency, for their support of the exhibition.
    Takram would like to thank Mary Jane Jacobs, Executive Director, and the dedicated members of Sullivan Galleries, The School of the Art Institute of Chicago, for their countless hours, making this exhibition space design possible and executing Takrams design to its fullest extent.
    Also, many thanks to Kris Budelis and Hiroki Sato for their assistance as interns.

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