Data Vehicle, Inc.
ビッグデータ解析システムのデザイン
DataDiverとは、2015年にデータビークル社からリリースされたデータアナライゼーションツールです。Takramは電通CDC局と共に、このツールのデザイン・設計・開発に取り組みました。従来のデータ分析・統計ツールは、その使用に高度な分析スキルや経験を必要とする専門家のためのものでした。DataDiverは、このような従来型のツールとは全く異なり、高度な分析スキルをもたないユーザーでも意思決定に役立つ分析を簡単に導くことを可能にした画期的なツールです。このプロジェクトの中でTakramは、分析プロセスの設計、明瞭で直感的なインフォグラフィックス、手触りの良い操作感などにこだわって、デザインと設計に取り組みました。
特徴
DataDiverは、ビッグデータ分析に馴染みのないユーザーにも驚くほど使いやすくデザインされています。そのようなデザインを実現するために、データ分析の中から最も特に重要な3つのステップを抽出し、それを軸にした操作体系が採用されています。それ以外の煩雑な作業の全てをアルゴリズムを用いて自動化することで、画期的にシンプルな操作を実現しました。このようなユーザー体験上の「引き算志向」が、サービス全体を牽引するデザインコンセプトの核となっています。
背景
従来の分析ツールは、①簡単な操作のみで使えるが単純な集計のみ対応するもの、②プログラムを書いて本格的な分析を行うもの、③GUI操作のみで本格的な分析を行うが、その操作が煩雑であるもの、という3つに大別することができます。 DataDiverはそのどれでもなく、複雑なデータを用いた本格的な分析を、簡単な操作で誰でも使用することができます。3ステップで分析が完了する直感的なインターフェース、データテーブル間の関連性の自動推定、データ加工処理の自動化、分析結果の自然言語表示、多変量解析の結果を二次元上のグラフとアニメーションで表現するビジュアル表現などが実装されました。このような様々な工夫を積み上げることによって、既存の分析ツールを凌駕する操作性を実現しています。
アナライゼーションとビジュアライゼーション
従来、ビッグデータの活用はアナライゼーション(分析)から仮説を導き出すという方法で行われてきました。しかし、ビッグデータは、その情報の膨大さから全体を把握をすることが難しく、アナライゼーションだけでは、情報を俯瞰した判断を下すことが困難です。それに対し、ビジュアライゼーション(可視化)は俯瞰的な把握を可能とし、アナライゼーションによる分析的理解の欠点を補うことができます。アナライゼーションとビジュアライゼーションを組み合わせることで、仮説の精度を上げ、現実世界に適用できるソリューションを生み出すことができます。
Takramではアナライゼーションとビジュアライゼーションの2軸を組み合わせることで、理解と把握の間をスムーズに行き来できるシステムを志向しています。そのような思想を実現した具体例として、TakramではデータアナライゼーションシステムとしてDataDiverを、データビジュアライゼーションシステムとして、RESAS – Prototypeの設計・デザインを行いました。
Project Information
- Client: Data Vehicle, Inc.
- Expertise: Digital
- Year: 2015
Project Team
- Direction: CDC, Dentsu Inc.
- Project Direction: Minoru Sakurai
- Creative Direction & Technical Direction: Minoru Sakurai
Minoru Sakurai
Design Engineer, Project Director