ベアリングをはじめとする機械部品メーカーのグローバルキャンペーン
映像では、あらゆるものに「MOTION & CONTROL」を提供するNSKが、その素早く緻密な動きを駆使し、未来へと飛び出す様を、NSK独自の機構を用いて表現しています。
コミュニケーション設計
2020年の「Running」から始まり、今回で4作目となる「動詞シリーズ」と呼ばれる本キャンペーンは、日本精工株式会社(NSK)のコミュニケーション戦略を検討するところから始まりました。
動詞シリーズでは、マス層に対する総花的なメッセージングではなく、コア層を中心にファンになってもらうようなコミュニケーションを目指しています。
毎年NSKの技術者とともに、自社製品を用いたエンジニアリングを追求することにより、社外に対してはもちろん、NSK社内のメンバーにとっても、誇らしく思ってもらえる企画となっています。
アイディエーション
プロジェクトは毎年、NSKのさまざまな部署から集まった有志とのアイディエーションから始まります。今年はどんなゴールを目指すのか、各々が目標を掲げ、ペンを持ち、多くの議論を重ねました。
NSKがビジョンに掲げる「あたらしい動き」を、どの製品であれば生み出せるのか。まずは大胆にアイデアを発散させ、そのなかから可能性の種を拾い上げます。
プロトタイピング
アイディエーションと並行して、さまざまな素材を用いたプロトタイピングも行ないます。頭と手を同時に動かすことで、できると思っていたアイデアが実現できなかったり、予想もしないおもしろい動きを見つけたりと、さまざまな発見が生まれます。
Takramではプロトタイピングを技術検証としてだけでなく、新たなアイデアを生み出すための踏み台と考え、これらを”いけにえ”(サクリファイス)として「サクリファイス・プロトタイプ」と呼んでいます。
構成検討
アイディエーションとダーティプロトタイピングを繰り返し、数多くのアイデアがテーブルに並んだ段階で、アイデアの選定を行ないます。
似たようなアイデアをグループ化し、①技術的に実現可能か、②コンセプトを適切に表現できているか、という2つの基準から絞り込むことで、最終的な方向性を定めます。
23年は、「球を空中に飛ばしてコントロールする」という方向性に定め、具体的な演出へと進みました。
機構製作
機構の製作は、高精度なプロトタイプ(テストショット)と本番製作の2段階に分けて行ないます。テストショットの段階では、機構の剛性や、想定通りの動きが生まれるかを検証。本番用の機構では、さらに高い精度を追求します。
また、制御のためのソフトウェアは、毎年機構に合わせて専用のものが開発され、高い精度をもつ動きを支えています。
撮影
撮影では、機構の精緻さを伝えるために、事前に3Dレンダリングを活用し、画角やカメラアングルなどの計画を細かく練り上げてから、本番に臨みました。
高精度なカメラを使用し、「あたらしい動き」が生まれる瞬間を捉えた映像が完成しました。
グラフィックへの展開
このプロジェクトで開発された機構は、動画に限らず、新幹線の車内ポスターや日経新聞にも掲載されるなど、幅広いメディアを通じて発信されました。
「__ with MOTION & CONTROL」キャンペーンは、ビジネス戦略、テクノロジー、クリエイティブの各側面において、高いクオリティーを目指して制作されています。
Project Information
Project Team
- Project Direction: Minoru Sakurai
- Creative Direction: Minoru Sakurai
- Prototyping, Design & Development: Tatsuya Narita
- Prototyping, Software Simulation: Satoru Osawa
- Strategy & Planning: Ken FujiyoshiMegumi Kanno
- Graphic Design: Tomoro Hanzawa
- Sound Design: Keisuke Oyama
- Technical Direction & Development: Shinya Matsuyama (siro)
- Prototyping, Hardware Design & Development: Yusuke Kamiyama (SPLINE DESIGN HUB)
- Software Design & Development: Hitsuji (silica)
- Assembly & Tuning: Ryoga KanoTakayuki Katagiri (siro)
- Filming: i7